天使の囀り

とある方のおすすめとして紹介されていた、「天使の囀り」。そこで軽くあらすじが紹介されており、面白そう!読みたい!と思い手に取りました。著者である貴志祐介さんの作品に触れるのは、今回が初めてです。

作品名である「天使の囀り」は、言葉だけ聞けば何だか可愛らしいですよね。まあ、あらすじを知ったら可愛らしさなんて皆無だろうなあ、と予想はつきます。作品の内容は、ホラーとミステリーがミックスされた感じで、ミステリーものが好きで割りとホラーも好きな私は、ガンガン読み進めていきました。

最初読んでいるときは、映像化したら面白いだろうなあ、とドキドキハラハラしていました。しかし、終盤に近付くにつれて、これは映画化しないほうがいい、と考えを覆すことに。映像化したら、多分夢に出てくると思います。色々と。

様々な分野に対して専門的なことも書かれていて、情報が膨大過ぎるっ……!と、ガンガン読み進めていったと言いながらも、途中頭の中を落ち着かせるために一旦本を閉じました。情報の吸収だけでなく、作品の内容について心を休めたかったというのもあるんですけどね。読んでいて、うわぁ……エグいよ……となることが終盤畳み掛けるようにあったもので……。

ホラーと言えども、不可解な現象に対して科学的に説明が為されているんですよね。段々と、何故この人物はこのような行動を取ったのかが分かってくるんです。様々起こる不可解な現象は非現実的なんて感じることはなく、実際に起きる可能性もあるよなって思ってしまうんです。そう思った瞬間、ゾッとしてしまいました。

多くの犠牲者が出たにも関わらず、不可解な現象についてはひっそりと終息を迎えます(作品で描かれている範囲では)。中には、どこの誰かも分からないままの犠牲者も。不可解な現象について解明しようと奔走していた人物がおり、その人が犠牲者の一人と対面する場面があるのですが、その人はその犠牲者がどこの誰かは分かりません。しかし、読者はその犠牲者が誰なのか分かる……という場面があるのですが、この場面が私の中では一番心にずーんときました。多分、この犠牲者が私と近い年齢だったというのも、一番心にずーんときた理由として大きいと思います。

どうやら私は、とんでもない作品に出会ってしまったようです。